MISOPPA日記  

2001年2月15日
 前に女性誌で紹介したことがあるが、月いちで床屋に通っている。顔剃りと顔のマッサージで、3500円+税。顔の隅々まで(耳のきわの産毛まで)剃ってくれる。剃ってもらうと、顔のベールを一枚剥がしたような気持ちになって、「さあて、またひと月がんばるか」と思う。思えば私の場合、身も心も月周期にかなり密着している気がする。お月さまがすごく好きだし。
  床屋はやはり男性客が多く、彼らはのびのびと世間話をしている。それを聞いているのも楽しい。美容室にも男性客はいるが、こちらは無口にしている人が多い。緊張しちゃうのかな。
  写真は、通っている床屋の外観。ヘアーサロン141(イチヨンイチ)。店長が石井さんという名前で、どうもそこから141としたみたい。それを知って、より親近感を持った。渋谷109が東急(トウキュウ)から命名したのと同じやり方。

 

2001年2月14日
  昨日探し物をしていて、五年ほど前に大騒ぎして財布を探したのを思い出した。
  四畳半の部屋に机三つとテーブル一つがあり、物と人がひしめき合っていた。その時、その部屋には私を入れて四人いたように思う。私はふと、財布がないことに気がつき、それまでの行動を思いだしながら、まずひとりで探し始めた。財布には大事なカード類を全部入れている。なかなか見つからない。そのうち四人総出となり、懸賞金までつける騒ぎとなった。
  誰かが「あった!」「こんなとこに」と声を上げたが、なんと財布は、私の椅子の背もたれと座面の間にすっぽり挟まっていたのだ。
  私はバツが悪くてへらへらしながら言った。 「こう、簡単なさ、探知機みたいのがあればいいのにね」 
「その探知機をなくしたら、その探知機を探す探知機がまた必要になるじゃない。それをなくしたら、また探知機をさがす探知機が」 「そうだけど」 
 お笑いコンビのホンジャマカが無名のころのライブで、これに似たようなネタをやっていた。テレビのリモコンをなくしたので、リモコンをさがすことのできるリモコンリモコンで探そうとする。するとそのリモコンリモコンがないから、リモコンリモコンリモコンで…。その、エスカレートする様子がおもしろいのだった。

 

2001年2月13日
  ほんの一時期銅版画を習ったことがあり、そのときに作品をひとつだけ拵えた。なにしろはじめて彫って摺ったやつだから、作品なんて言うのはおこがましいのだけれど……あれ、どこに行ったかな。  どうして私、あんな絵柄にしたのだろう。場末のキャバレーの小さなステージに、寸詰まりの大きなワイングラスがあり、そのグラスの中で若いとはいえない女がもがいている。女は日本髪に粗末なかんざしを挿し、白鳥の湖みたいなドレスを着ている。その様子を白熱電球がにぶく照らしている。絵というものは、頭ではなく手が勝手に描くというけれど、それにしてもどういうつもりでそんな絵を彫って摺ったのか、我ながらまったくわからない。
  へんてこなその絵をここにアップして、「これ、なんだろう」とみなさんに問うてみたくなって探しはじめたのだ。  見つからない。探し物はそう簡単には見つからないと相場が決まっている。

 

2001年2月10日
  最近、「身体にいい」の魔法にかかっている。 「ゴマは身体にいいもんね」「青さかな、うん、身体にいい」「きび入りごはん? わー、身体にいいじゃない」 身体にいいらしい食べ物には花丸をつけ、そうでもなさそうなのには「普通」の烙印を押し、食べ過ぎたら成人病になりそうなものには「おいしいから食べてやるんだからね」とケンカを売らんばかり。こんな気持が働いてしまう。「身体にいい」となれば、油だってどくどく飲むんじゃないかしら、あたし。
  昨日、ブエナビスタソシアルクラブのコンサートに行ってきた。 「たのしかったね! 身体にもいいコンサートだったね」 と友達にいいそうになって、そんな自分に驚いた。 



今日食べに行ったお店のおかめ箸置き 生牡蠣に似てる

 

2001年2月7日
  昼に、ある会議のために都庁に行き、その足で夕方、講演のため西川口へ。重い荷物も洋服も濡らしたくないから、雨空に因縁をつけながら移動。
  たまに都庁にくるとそのたびに「都民として、利用しまくるぞ!」という気持ちになる。結局は用がなければ来ないのだけど。
  都庁の高速エレベーターが開くたびに、ビル風の関係なのか、ゴーゴーと音(同じ音、実家近くの森のなかのダムで聞いたことがある)がして、ビルの最上階よりもっともっと高いところに連れていかれるような奇妙な気分になった。
  都庁での時間がおしたため、あわててタクシーに飛び乗ったら、大事な傘を忘れたのに気づいた。ゴーゴーという都庁の音のせいにする。
  タクシーを降りて歩きだすと、雨はみぞれに変わっており、濡らしたくない荷物と洋服は、濡れた。でも、家に帰ってきて、私の大事な傘が、あの高い高い場所(都庁の33階。地上何メートルかな)の傘立てにぽつんとあることを思うと、イメージとしてたのしい気がした。
  夫を驚かせようと夜中に、 「いまから傘を取りに行く」と立ち上がると、「いってらっしゃい」と言って止めなかった。口だけだということ、わかってたみたい。 


都庁の職員食堂のラーメン、310円也 まずくはない


都庁4階の窓から見えた雨の新宿

 

2001年2月5日

 今日は一日中パソコンの前で作業していたから、しまいには目がしょぼしょぼし、背中と腰が痛くなった。やれやれ、とつぶやいて立ち上がろうとすると、おや、思うように足腰が伸びない。バランスをくずし、咄嗟につかまったのがこれまた頼りない物(滑車つきの椅子と机の上の筆入れ)で、床に尻餅をつき、肘と腰を打った。痛くて痛くて涙が滲んできた。こんな日もある。
  咄嗟につかまった筆入れは、小学生の時使ってたアーム筆入れもどきのものだ。数年前実家で見つけて、ふたたび使うようになった。八つ当たりとして、この筆入れをぎゅーと踏んでやったら、さすがアーム筆入れもどき、これくらいではびくともしなかった。
  写真は、筆入れの底の裏側。昔つけたシール(上からこすってつける式のやつ)がそのまま残っている。

 

2001年2月4日
  譲ります! 「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のコンサートチケットが一枚あります。ご入用の方は、2月6日までにメールくだされば、速達で郵送いたします。よろしくお願いします。 「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ プレゼンツ イブライム・フェレール、ルーベン・ゴンザレス&オマーラ・ポルトォオンド」 2月9日(金) 午後6時開場 7時開演 東京国際フォーラム ホールA S席1階13列 8000円

 

2001年2月3日

 テレビの「本パラ関口堂書店」で、『ウルトラマンはなぜシュワッチと叫ぶのか?』(河崎実著 メディアワークス発行)を紹介していた。縁あってすでに持っていたこの本を、手元に置いて番組を観る。
 ものごとに強く惹かれて、それにこだわりつづけている河崎氏の姿に心がなごむ。彼は画面で眉間にしわなんて寄せてなかったけど、きっと、ウルトラマンのチェックなどしながら「むむ、これは…」などとつぶやきつつ眉間にしわ(周囲を和ませる不思議なしわ)を寄せているんだ。
 ところで、ウルトラマンのかけ声「シュワッチ」をデザインしたという飯島監督も番組に出ていたが、彼の顔がウルトラマンそっくりなのに驚いた。初老のウルトラマン。

 

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