MISOPPA日記  

 

2001年10月30日
「最近おまえ、怖い夢でも見てるみたいでホーホーって泣くようなでかい声出してうなされてることが結構あるな」
と夫。まったく覚えがない。こないだのそれのとき、驚いた夫が「どうした」と声をかけると、私はぱっと目を開けて(でも意識は眠っている)きっぱりとこう言ったそうだ。
「画面が逆ですよ」

 

2001年10月27日
ひじきの炒め煮を作った。小さいころは、茎の部分の太くて長いひじきの炒め煮をよく食べたものだけど、最近のスーパーではそういうひじきを売ってない。

 


2001年10月26日
街では携帯電話を使った実況中継があふれている。「いま、階段のぼったところ」「いま、駅についたところ」「いま、コンビニ出るところ」「いま、ニタッとしたところ」。

 

2001年10月20日
 髪がぐしゃぐしゃの日には、前の書いたようなバンダナの給食のおばさんかぶりをいまも重宝してやっている。でも、さすがに新宿まで用足しに出たりするときなどにはおばさんかぶりはやめて、帽子をかぶる。最近は、深く帽子をかぶった上に伊達めがねをかけるようになった。「これなら、知っている人だって私だとはわかるまい」とほくそえんで書店やデパートを気ままに歩く。新宿に出て知り合いにばったり、なんて皆無なんだけど。
 帽子だけのときは感じなかったのに、伊達ぬがねもするようになってから、どうも、人に顔を覗き込まれがちになったような気がしていた。そして今日、そのわけが判明。
「すっぴんで、そんなに深く帽子かぶって、めがねかけてって三拍子そろってたら、いかにも、世間に面が割れている私がお忍びで歩いていますよって言ってるみたいで、誰だろって思って覗きこまれるよ」
と近所のお店のお姉さんがおせえてくれた。

 

2001年10月15日
 先週の金曜日の昼、取材のため築地に行った。約束まで時間があったので、築地場外市場を見物してたら、剥製と乾物をごちゃまぜにして陳列し販売している店があった。白クマの剥製(58万円也)のとなりに一枚百円のするめイカがどさっと重ねられており、両者をハエが行ったり来たりしていた。乾燥している動物の屍骸という点では剥製もするめも同じカテゴリーと言えるかもしれないが……この店、一体何屋さんといったらいいんだろう。
 昨夜、イメージフォーラムで写真家森山大道のドキュメンタリー映画を観てたら、築地の剥製と乾物の店を写しに行きたくなった。

 

2001年10月11日
 こないだタクシーの運転手さんが、「日本がテロされるとしたらさ、新幹線だね、絶対!」と言った。きっぱりと言い放つ様子は、まさしく断言であった。
 今日の昼、通りがかったたばこと塩の博物館でやっている企画展「江戸の出版仕掛け人ーー天保の改革と浮世絵part3」がおもしろそうで、ふらっと入った。歌川国芳の『里すゞめねぐらの仮宿』(出版統制令により、浮世絵に遊女を描くことを禁じられていたため、何人も描かれた遊女の顔だけスズメになっている画)と『猫のせかい』(この画の一部はチラシに使われている→写真参照)がとくに印象に残った。

 

2001年10月9日
 私なりにお出かけの秋を過ごしている。5日、6日、7日と私にしては「出かけたなあ〜」という三日間だった。5日は昼間講演に行って、夜はオペラシティでピアノリサイタルを聴いた。6日は、昼間講演に行ってその後病院にお見舞いに。7日は椿山荘で開催された純米酒フェスティバル(写真)に。こう書いてみるとそれほど出歩いているわけではない。普段、いかに出かけていないかがわかる。いまの私がスケジュールのびっちり入ったパックツアーとかに参加したら、目をまわすと思う。

 

2001年10月4日
 天然のキンモクセイの香りが街に漂っている。香りの発信源となっている樹はなかなかみつからない、というのが決まり。昔、キンモクセイのすごくちいちゃな黄橙色の花を耳たぶに水で貼り付け、ピアスの真似事をしたっけ。

 

2001年10月1日
 自宅兼事務所にいると、いろんな音が聞こえてくる。車の音、携帯で話す人の声、虫の声、救急車の音、向かいの家の犬の遠吠え。たまに、石をコンコンコンコンと削る音が聞こえてくる。耳を澄ますと聞こえる程度の音。すこし離れた場所にある石屋さんから聞こえてくるのだ。落ち着くような心地よい音。身体にいい音という感じ。
 それと正反対の身体に悪い気のする音も、耳を澄ますと聞こえてくる。ゲームセンターのゲーム機から流れている音楽だ。電子音のつまらないメロディは、すっかり頭にこびりついてしまった。せっかく石屋さんの音でいい気分になっていても、ゲーム機の音のせいで台無しになる。石屋さんもさぞかしゲームセンターを不快に思っているのでは、と私は勝手に思い込んでいた。
 けれど、こないだゲームセンターの前を通ったとき、石屋さんのおじさんがゲーム機の鍵を閉めているのを見た。石屋さんはゲームセンターのオーナーかなにかのようなのだった。 

 

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