MISOPPA日記
2002年10月29日 昨日弘前市に出張し、今日帰ってきた。弘前では担当の方たちにとてもあたたかく迎えていただいた。さらに夜、「杏」という名の居酒屋に案内していただき、郷土料理をご馳走になってしまった。「杏」は、津軽三味線ライブのあるお店だった。若者がすーっと現れ、客たちのすぐそばに正しく座り、弾き始めた。いつのまに、みな箸を止め、聞き入っていた。私も。演奏、すばらしかった。 昔、テレビでATG映画の『津軽じょんがら節』を見た。中三、いや高一になっていたか、そのとき私は、その映画の音楽だった津軽三味線の演奏のとてもとても物語的なところと主演女優の江波杏子の笑わない女性ぶりに圧倒された。それを思い出した。 帰り、青森空港で『高橋竹山に聴くー津軽から世界へ』(集英社新書)を購入し、機内で読む。ときどき本から目を離しては、あの映画の中の江波杏子になったつもりで窓の外にちらり目をやってみたりした。帰宅し、高橋竹山のCD注文。写真は、泊まったホテルから撮った弘前の夜景。
2002年10月19日 夫いわく、いまの私の仕事部屋は「しっちゃかめっちゃか」なのだそうだ。たしかに散らかってはいるけど。 しっちゃかめっちゃか。久しぶりに聞いた言葉。絵本の題名にありそうでもある。その絵本の出だしは、たとえば、しっちゃかとめっちゃかは二人とも落ち着きのない子供でした、とか、しっちゃかは二段ベッドの上であることがめっちゃかは二段ベッドの下であることが不満でした、とか、しっちゃかとめっちゃかは目が合うと喧嘩になり髪の毛を引っ張りあうのでした、とか。 そういえば友達が昔、オスとメスのカメを飼い始めたことを話してくれた。彼女は幸せそうに目を細めて言った。「名前はカっちゃんとメっちゃん」 彼女なら、絵本『しっちゃかめっちゃか』の可愛くやさしい雰囲気の出だしを思いつくかもしれない。
2002年10月6日 何年ぶりかに大きく転び、何年ぶりかに擦り剥いてカサブタができた。両ひじ。黒糖ふがしの色をしたカサブタ。 カサブタというものはどうしても触りたくなる。どうしても剥がしたくなる。最後のカサブタを剥がしてしまったとき、「もう剥がすのがない」と思う。ちょっとした喪失感を味わう。きっと今回もそうなる。
2002年9月19日 今日、赤面ものの恥ずかしい思いをした。 朝早く、近くのコンビニに行った。起きてからあまり時間がたってなかったため、すこし寝ぼけていたのかもしれない。ひさしぶりにいい天気で、スキップでもしたい気分でコンビニに入り、飲み物などをカゴに入れてレジに持っていった。財布を開けながら合計金額の掲示を見ていたら、レジのおにいさんが元気な声でいきなり「おでんはいかがですか?」と言った。このコンビニでそんなこと聞かれたことがないのできょとんとしてるとおにいさんは「今日と明日は、おでん全品50円になっております!」と付け加えた。ああ、なるほど、安くなってるから追加で買いませんかと言っているのだなと私は合点した。買うつもりはないけど、全品50円というのはいい企画ですねえ。そんな気持ちをこめて、「いえ、結構です」といおうとしたところ、なんと私の口は「ひゃっほー」と言ったのだった。おにいさんは動きを止め、一瞬ほんの少し首をかしげたあと笑顔になり「えっとどれにしましょう」と言ったので私はあわてて「いえ、買いません」と言って、清算し、逃げるように出てきた。おにいさんとしては、全品50円を「ひゃっほー」なほど喜んだくせに買わないのはおかしいじゃないか、と思ったに違いない。 でも、わざわざおにいさんに「いいお天気に対するひゃっほーだったんですが、それを言うタイミングを間違えました」などと弁明するのはばかばかしいし余計恥ずかしい気もするからそれはできなかった。すべては私を浮かれ気分にさせた、いいお天気がいけないんだ。
2002年9月13日 昨晩仕事で、はじめて新橋に行った。待ち合わせ場所は烏森口のSL広場。薄暗くなっていくにつれ、飲みに行く待ち合わせといった様子のサラリーマンの人たちが広場にじわじわと増えていった。相手を発見すると笑顔になり、汗をハンカチで押さえ「どうもどうも」と言いながら近づいて行き、握手をし、吸い込まれるようにあちこちの方向へと消えて行く。むし暑い広場で待っている人たちにはそういうパターンが多かった。いっぽう、SL広場の見えるショッピングビルの中に入り涼しい場所でガラス越しに相手の出現を待っていた人たちは、相手と会っても、誰も握手をしないのだった。以上、二十分間の観察結果。
2002年9月4日 頭が暑くならないし日差しも避けられるし。今年の夏は帽子を見直した。見直した証拠に新しい帽子を二つも買ってしまった。 今日、帽子はえらいなあ、と思いながら新しく買った帽子をいじってたら、子どものころは、夏の麦藁帽子や通学用の黄色い帽子、そして紅白の帽子、そのどれも、被るだけでなく、容れ物としてもよく使ったのを思い出した。友達の家でトマトをいっぱい入れてもらったり、摘んだシロツメクサを入れたり。 そういえば、別のクラスの男子が、砂場の砂を運ぶのに黄色い帽子を使っていたのを見たことがあった。「そういう使い方はだめだろう」と当時の私は思ったが、いま思えば、そんなにだめでもないような気が。
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