MISOPPA日記  


 

2002年12月23日
20日金曜日の夜、市谷駅を出て外堀通りへの橋を渡っていたら、暗闇にぼうっと浮かぶ熱帯魚屋さんの看板が目につき、立ち止まった。いまは亡き常磐ハワイアンセンターを連想する生温かいオレンジ色の光で、その看板は照らされていた。熱帯魚って売れる季節売れない季節があるのだろうか。寒いほうが南国ムードで暖がとれる気がして売れるのだろうか。そんなことないだろう。大安売り、と大きく書かれた真っ赤な幟が看板の下ではためいていた。ワゴンセール、とかあるんだろうか。
熱帯魚屋のとなりには釣堀がある。平日の午後など、意外に繁盛しているのが電車から見えることがある。釣り堀にいる魚と、すぐとなりの熱帯魚屋の魚は、同じ魚と言えども一生会うことはない。「棲む世界が違う」という言葉、彼らにぴったり、なんて思いながらその場をあとにした。

昨日の日曜日の午後、久しぶりにプールに行った。いつもの日曜の午後なら混んでいる時間帯のはずなのに、すごくすいていた。帰り道、歌舞伎町の映画街で「マイノリティリポート」を見る人の長蛇の列や伊勢丹デパート内の大混雑を目にして、ただの日曜ではないらしいことに気付いた。

 

2002年12月8日
 今日、花をいただいた。Yさんが毎年贈ってくださる。ほんとうは、いつもお世話になっている私のほうからなにかお贈りするのが筋なのだ。けど、いただいている。うれしい。
 花は、その姿はもちろんだが、香りが素晴らしい。ここぞとばかりにその香りを吸う。水泳の息継ぎみたいに吸う。室内が暗いので、フラッシュを焚いて写真を撮ったら、花は、いきなりフライデーされた人のようにぎょっとした表情になった。
 デジカメの電池がなくなり、充電。愛用しているデジカメがあまりにもおとなしく素直にじっと充電されているように見えて、「どれ、その姿を撮ってやろう」と思ったけれど、カメラは充電中のやつしかないことに何分もたってから気がつき、断念。私、花の香りでいかれた模様。

 

2002年12月7日
 昨日、知り合いの女性Kさんから旅行のお土産をいただいた。いろいろに使えそうな財布サイズの入れ物。「パリ・三越」で買ったそうだ。パリ・三越って、言葉の響きが、パリ・テキサスって映画も連想させるからか、なんともかっこいい感じに聞こえた。
 今日、カバンからそのお土産を取り出して、うれしく手にとっていたら、「パリ・三越」の三越の部分を、ほかの四文字の言葉に入れ替えて遊んでみたくなった。「パリ・腹巻」「パリ・天ぷら」「パリ・山奥」「パリ・みちのく」「パリ・焼肉」「パリ・カクテキ」「パリ・パパイヤ」「パリ・もじゃもじゃ」などとやっているうち、だんだんと笑いたくなってきて、「パリ・おせんべ」「パリ・パリパリ」のところで、吹き出してしまい、しばらく笑った。なんでもいいから笑いたかったのかも。もうじき、またひとつ歳をとるというのに、こんなんでいいのか。いい。

 

2002年12月1日
湯河原に行ってきた。写真は、お世話になった旅館の庭にあった夏みかんの木。実がいっぱいなっていた。まん丸よりも三角よりも、この、夏みかんみたいな丸さに、おにぎりを握るのがいちばんむずかしい。昔やってみたときそう思った。

 

 

2002年11月28日
 私はすこしでも空気が乾燥すると鼻がかわいて苦しくなる。よって冬の間は、加湿器フル稼働となる。
 問題は冬の出張時だ。出張に加湿器まで持ってゆくわけには行かず、からからに乾燥しているビジネスホテルに無抵抗で宿泊しなければならない。バスタブにお湯をはってドアを開けはなしたり、濡れタオルを部屋においたりしても、私の乾燥した鼻には効かない。
 先日の出張時も、出かけるときからその点が憂鬱だったのだが、いいことを思いついた。マスクなら自分の呼気で湿度を自給自足できる! 
 で、さっそくためしてみた。かの地のビジネスホテルの一室。マスクをつけてベッドに入ってみると、これがとてもいい具合。私はVサインの気持ちになって、目を閉じた。最良の睡眠が約束されたはずであった。
 ところが、悪夢にうなされて往生することになってしまったのだ。いきなり男にうしろからはがいじめにされ、同時に口をふさがれ「声を出すな!」と言われた。この男は、どうしてへんてこなこと言うんだろう。声なんてさっきから一度も出してないのにーー。口をふさがれていて苦しいのだけど、心の中で首をかしげる私。頭の中が?マークでいっぱいになる。そのうち、ああ、これは夢なんだな、と気がつき、安心して眠る。少しすると、また、同じことが起こる。「声を出すな!」
 繰り返し起こるうち、私はあきれはて「だーかーらー、さっきも今も声なんか出してないってば!」とテレパシーで言い返すのだが、男は懲りずに毎度同じように私をはがいじめにして口をふさぎ、「声を出すな!」と言うのだった。
 朝起きたら、とても疲れていた。鼻の乾燥はさけることができた。

 

2002年11月19日
靴屋さんの若い女性スタッフが言った。
「職業病で、秋冬は右手の人差し指に豆ができて、それがつぶれて血が出たりするんですよ」
その理由は、お客さんが試しに履いたブーツのファスナーを、ふくらはぎがぱんぱんでも、力をこめてあげてやるからだとか。
意外な職業病に目を丸くしたが、それよりも、ファスナーが知らぬ間に相当頑丈になったことに感心した。私が履いてみたブーツも、足を入れた途端、これでは絶対ファスナー上がらない、ファスナーがこわれる、という様子だったのに、職業病の彼女は、人差し指にハンカチを当て、ぐぐぐぃっと見事に上げてしまったのだ。昔のは、きついのを無理矢理締めたりすると、真ん中あたりから、さっきまでがっちり噛みあっていたのが嘘みたいに、ぱらぱらと呆気なく外れてしまったりした。ああ、そのころはファスナーではなくチャックと呼ばれていたかも。ところで、昔「お口にチャック!」という言い方を聞くととても恥ずかしかった。いまもだけど。

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